宇都宮・山本両氏の政策を徹底比較!!

どれくらい政策が似ている、違う?

こんにちは、akiです。

2020年7月5日に投開票が行われる東京都知事選挙。現職の小池知事への対抗馬として野党の多くの党が支援する元日弁連会長・宇都宮健司氏が立候補を表明。そののち、6月15日になってれいわ新選組代表・山本太郎氏が立候補を表明しました。

政策のスタンスが似ていると言われる二氏が同時に立候補することについて、票が割れるのではないかとか、立候補する意味があるのかということも大きく話題になっています。

実際、どれくらい二氏の政策は似ており、どこが違うのでしょう?今回は現時点で二氏が出している政策から相違を見て行きたいと思います(※一部省略したところがあります。)。

以下のように色分けして見て行きたいと思います。

赤色:一方にはない独自の政策

緑色:似てはいるが細かいところに違いがある政策

黒色:全く同じ政策

立候補を表明した順に、宇都宮氏、山本氏の順で見て行きます。

<宇都宮健司氏 「緊急の3課題」と「重視する8課題」を発表しています>

緊急の3課題

1.新型コロナウイルス感染症から都民の命を守る医療体制の充実と自粛・休業要請等に対する補償の徹底
(1)PCR検査態勢充実
(2)病院や保健所、医療従事者に対する財政支援の強化
(3)病床、人工呼吸器・ECMO(人工肺装置)・マスク・防護服などの医療器具の充実
(4)自粛・休業などにより収入が減少した中小事業者に対する補償、仕事を失ったり収入が減少した非正規労働者、フリーランス、学生などに対する生活補償を徹底して行う
2.都立・公社病院の独立行政法人化を中止、これまで以上に充実強化を図る。
3.カジノ誘致計画は中止。

重視する8課題

1.学校給食の完全無償化~子どもの貧困をなくす。
2.東京都立大学の授業料を当面半額化し無償化をめざす~誰もが学べる東京を実現する。
3.都営住宅の新規建設、家賃補助制度・公的保証人制度の導入、原発事故避難者に対する住宅支援~住まいの貧困をなくす。
4.公契約条例の制定、非正規労働者を減らし正規労働者を増やす~働く者の貧困をなくす。
5.災害対策(防災、減災、避難者対策など)を強化する~自然災害から都民の命と財産を守る。
6.道路政策(外環道、特定整備路線、優先整備路線)を見直す~地域住民の意見に耳を傾ける。
7.羽田空港新ルート低空飛行の実施に反対する~都民の命と暮らしを守る。
8.温暖化対策(CO₂の排出削減、自然再生エネルギーの充実など)を抜本的に強化するとともに緑と都市農業を守る~地域環境、自然環境を守る。

<山本太郎氏 東京都8つの緊急政策を発表しています>

1.東京五輪・パラ中止
2.総額15兆円で、あなたのコロナ損失を徹底的に底上げ
 a. 全都民に10万円給付
 b.高校以上の教育機関の授業料を1年間免除
 c.中小・個人事業主の損失をすべて補填 など
3.都の職員3000人増員、ロスジェネ・コロナ失業者に職を
4.低廉な家賃で利用できる住宅を確保「住まいは権利!」を東京から
5.PCR検査・隔離・入院体制を拡充 都立病院の独立行政法人化は中止
6.首都圏直下地震・大水害から都民を守る
7.障がい者のことは障がい者で決める東京
8.保育所・特養の増設 介護・保育食の処遇大幅改善

実は政策の半分は違う

お読みいただいて分かったと思いますが、二氏の政策の半分は全く異なっています。半分以上違えばこれはもう全く別物と言うべきです。

まずは大きな違いがあるものを見て行きます。

カネ―無駄を削る宇都宮氏と地方債を大胆に発行する山本氏

二氏は「弱者を救う」という大きな点では共通してますが、大きな違いの一つとしてそのためのカネの出し方と額があります。さきほど色分けした部分では緑のところです。実はこの緑色の差は大きな違いです。

29:40

宇都宮氏は、上にある出馬表明会見の29:40頃から述べている通り、「スウェーデン一国分」もある東京都の予算の無駄を見直して、そこから支援するためのカネをねん出し党としています。無駄の見直しの部分は具体的には「道路政策の見直し」の部分がそれににあたります。

実はこれ、聞こえはいいのですが、無駄を削減しようというのは宇都宮氏が批判している小池知事の政策や民主党・自民党政権がやっていることとほぼ同じです。

またアメリカでは大恐慌時にニューディール政策によって経済の安定を取り戻したことを考えると、むしろこのような状況では公共事業が普段より行われるべき状況であると言えるのではないでしょうか。

一方で、山本氏は全国平均で10%である実質公債費比率が1%台である東京都には20兆円規模の都債の発行余力があるとして、都債を積極的に発行することを明言しています。これを基に、まずは15兆円の支援をし、その内訳も詳細に決められています。お金がどう使われるか分かりにくい政治の中で、非常に明快なお金の使いみちと根拠を示していると言えるでしょう。

それぞれ向いている弱者が違う

二氏は大枠として、「弱者を救う」という点では一致しています。しかし、向いている方向が少し違うのではないかと思います。

まず、宇都宮氏です。重視する8課題の1つ目に挙げているのが「子どもの給食費」です。これは山本氏の政策の中にはありません。立候補を表明した会見を見ても宇都宮氏が子どもの貧困に非常に強い問題意識を持っていることがよくわかります

一方で、重視する8課題には「地域住民(道路計画の見直し)」「都民(羽田空港新ルート反対)」「地球環境」といったかなり抽象度の高い言葉が多く使われている印象があります。宇都宮氏自身が声なき市民の声を届けるために闘った法律家であることや、市民団体とともに活動してきたことがこのような言葉遣いになっているのだと思います。

他方で、山本氏は「障がい者」「保育」「介護」といったような具体的に特定された業種に対して支援の焦点を当てているように思えます。これはどちらが良いか悪いかという問題ではないのですが、いままで培ってきたバックグラウンドによって二氏のアプローチが似ているようでかなり異なっていることについては特筆に値すると思います。

東京五輪・パラの中止まで踏み込んだ山本氏

ここまで見ると山本氏の政策の方が良く見えるかもしれませんが、山本氏にとって諸刃の剣であるのが「五輪・パラ東京大会」の中止を東京が自ら宣言することです。

日本がコロナ渦を乗り切ったとしても、世界のどこかで感染がくすぶっていれば開催自体が難しい五輪・パラ大会は、東京都とIOCのどちらが先に「やめます」というかというチキンレース化しているように思えます。「延期したって正直無理でしょ」と思っている人たちにとっては響くでしょう。

一方で、すでに2021年に向けて簡素化しつつも動き出そうしている状況でもあります。さらに、開催を拒絶しても誰が損失を補填するかはないので、それを東京都が負担するとなったら一体どうなるのか、山本氏が言っていた都債20兆円で大丈夫という根拠はもろとも崩壊するのではないか、といった懸念点をつぶしていく必要があります。

このまま突き進んでも結局開催できなければいまやめるよりも大きな損失になるとは言っても、これだけ多くのイベントがなくなり、日常生活でも苦しみを共有している中で「せめて東京大会だけは…」という思いを持つ人も少なくはないでしょう。無党派層を取り込もうとする山本氏の戦いにおいて、東京大会の中止の必要性やその他政策をブレずに主張して、無党派層から支持を得られるかどうかというところが重要になるでしょう。

さらに、東京大会には多くの企業がスポンサーとしてかかわっており、これらの企業は主要メディアのスポンサーでもあります。そのため、山本氏が主要メディアで取り上げられる可能性は低く、出たとしても壮絶なネガティブキャンペーンをはられる可能性があります。これは山本氏の選挙戦において非常に大きなリスクとなりえます。

さて、ここまで宇都宮・山本二氏の政策を見てきました。どちらも同じ方向を向きつつ独自性を出していることがわかりました。もちろん、これを見て判断するのは有権者です(お二人以外の選択肢も当然あります)。

お二方の政策は、宇都宮氏はこちらから、山本氏はこちらからご覧になれます。どうぞご参照ください。

お読みいただきありがとうございました。

(※宇都宮氏は本日6月16日付で政策方針を更新されました。その中で「その他の重視する政策」として新たに9つの政策を出されましたが、こちらの記事には反映されておりません。ご了承ください。)

「宇都宮・山本両氏の政策を徹底比較!!」への2件のフィードバック

  1. 大変参考になりました。
    一つオリパラについての山本氏の発言で、「国際的な大きなイベントなので保険に入っている」と言うようなことを聞きました。詳細を調べていないままで申し訳ありませんが、取り急ぎお伝えしたいと思いコメントしました。

    1. お読みいただきありがとうございます。返信が遅くなり申し訳ありません。
      おそらく保険は存在するのでしょうが、どのような保険なのかということが私としても確証が得れていない状況です。保険があるということは保険会社は大きな損失を出すのでしょうし、そこで働く人は大きな苦労を強いられる可能性もありますので、確証がない状態で迂闊に書くことはできません。また、選挙という非常に公平性が重要な場面において、確証のない情報を伝えることは許されないと思い、記事には書いておりません。ご理解いただけますと幸いです。
      最後に、コメントありがとうございました。またこのサイトを訪れていただけますと嬉しいです。

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