こんにちは、akiです。この「国会事件簿」では、国会での質疑応答のなかで起こったちょっとした「事件」を取り上げていきます。堅苦しいと思われている「国会」も実は人情味にあふれていることが伝わったら良いなと思います。
最初は、やじる人の方を注意していたのに、、、
・会議録に見られる「呼ぶ」という謎の表記
今回は2019年2月14日に行われた衆議院予算委員会の様子からです。立憲民主党会派の小川淳司が質問に立った場面を取り上げます。小川氏はいわゆる「統計不正問題」で根元文科大臣をはじめとする政府を追及します。議論が熱を帯びてくると、会議場でヤジが飛ぶようになります。その様子がこちら↓
○根本国務大臣 今回設置する検討会、この目的は、この国会でもいろいろな議論がありました。共通事業所を実質化することについて、これをメーンにどういう課題、あるいはどう考えたらいいのかということであって、もともとこの勤労統計の調査は、常用労働者数の推移を見るものなのですよ、統計的に。(小川委員「ひどいな、七十年やってきたのに」と呼ぶ)いやいや、違う違う。常用労働者の月々あるいは賃金を見るものであって、調査はですよ、だから、常用労働者の定義をきちんと整理……(発言する者あり)いやいや、違う違う。そんなことはない。 (注:強調と下線は筆者)
「第198回国会 予算委員会 第7号」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001819820190214007.htm#p_honbun
会議録を見ると、相手の発言を遮ることは「呼ぶ」と書かれています。これは独特の表記です。明らかに呼んでいるわけではないですが、こういう業界用語があるのでしょう。また、ヤジの部分は「発言する者あり」となっています。
根元大臣はかなり答えにくそうです。ヤジがかなり発言を遮っていることがわかります。この会議、予算委員会の仕切り役である野田聖子委員長はすかさず、
○野田委員長 お静かに。ちょっと、やじはとめて、お静かに。
「第198回国会 予算委員会 第7号」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001819820190214007.htm#p_honbun
答弁を続けてください。
と注意します。
「ちょっと」という発言までしっかり議事録になってしまっているのが少し恐ろしいですね。しかし、ここまで一語一句漏らさず記録している速記手の方はさすがです。
・ヤジに反応し過ぎた根本大臣
野田委員長の注意が入った後の展開を見ていきましょう。
○根本国務大臣 本来、この統計で見るのは、常用労働者を見るのがこの統計ですから、だから、常用労働者と……(発言する者あり)いや、一部ですよ、それは。
「第198回国会 予算委員会 第7号」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001819820190214007.htm#p_honbun
平静を取り戻したかに見えた議場では、またヤジが飛びます。それに根元大臣が再び反応して、答弁が先に進みません。そこで野田委員長は、
○野田委員長 大臣、やじに反応しないでください。
「第198回国会 予算委員会 第7号」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001819820190214007.htm#p_honbun
○根本国務大臣 はい。
結局、大臣が怒られてる!!!
たしかに、ヤジも良くはないのですがいちいちそれに対応していると限られた質問時間が経過してしまいます。時間管理も委員長の大事な仕事なのでしょうから、無駄なロスは避けたいところ。そうすると「反応し過ぎ」な大臣の方を注意したのでしょう。
しかし、この直後の根元大臣はというと、
いずれにしても……(発言する者あり)いや、ひどくない。だって、日雇というよりは、常用労働者に、前二カ月で十八日以上の労働者を常用労働者としてカウントしていたのは事実でありますが、それはほかの統計との整合性をとるために、常用労働者の定義を変更しました。
「第198回国会 予算委員会 第7号」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001819820190214007.htm#p_honbun
いや、また反応しているじゃないか!!!
こういうのに反応してしまうのって、おそらくそう簡単には変わらない性分なのでしょう。こういうのを気に掛けつつ議題を回していくのが委員長のお仕事なのですね。なかなか大変です。
今日はここまで。この日の統計不正問題についての答弁の中身はこちらの記事で詳しく解説していますのでお読みください。
お読みいただきありがとうございました。