「職人技」の光る一曲!
こんにちは、akiです。
今日の一曲はこちら↓
「Install」by ADAM at
しなやかさと強さが同居している
ADAM at はキーボディストのADAM at(本名の玉田を逆から読んだもの) を中心に活動するインストメンタル・セッション・バンドです。最も知られている曲の一つとして、NHKのプロ野球放送で使われている「六四三」という楽曲があります。
さて、ADAM at は6月19日に新アルバム「トワイライトシンドローム」を発売しますが、それに先駆けてリリースされたのが今回取り上げる「Install」という楽曲です。
この曲の最大の特長は、跳ねるように軽やかなリズムと絶妙なタイミングで入るクラップです。このクラップがリズムをさらに軽やかに仕立て上げています。先ほど名前を挙げた「六四三」の力強い情熱的な演奏とはかなり趣が異なり、思わず体が動きだしそうな一曲です。
この流れるようなリズム感が意識されているこの曲は冒頭から早めのテンポでどんどん進んでいきます。特に終盤の音階が上がったり下がったりを繰り返すところはこの曲の見せ場です。音の大きさ自体はそれほど変わりませんが、さらに音数が増えて、カーブを曲がり切った後の最後の直線を加速していくとような疾走感があります。
本当に「ピアノを司る人」だったADAM at
また、YouTubeで公開された「Install」のミュージックビデオでは、なんとキーボディストの玉田さんがピアノの修理工に扮しています。
というのも、実際に玉田さんはこのビデオが撮影された工場で働いていたとのこと。もはや扮しているのではなく、本職だったのです。これには驚きました。このビデオを見たファンの方も驚かれたのではないでしょうか。
修理工から実際にアーティストになったという方はあまり聞いたことがありません。サポートメンバーが正規メンバーになるのとはわけが違いますし、裏方さんがパフォーマンスをするメンバーに加わることとも(そもそもこんな話もも聞いたことはありませんが)違います。
しかし、この考えられないようなストーリーにも私は納得してしまいました。というのも、ADAM at の楽曲はクラシックなもので一見するとロックなどと比べて「弱々しい」ようにも思えてしまうピアノという楽器の力強さを引き出していてどれも聴きごたえがある曲だからです。こういった曲を作ることができるのは、修理を通して様々なピアノと向き合ってきた経験があるからこそなのではないかと思います。
ADAM at の公式サイトには「インストシーンの普及を図るべく」という一言があります。インストの曲は歌詞がないため感情が込められないようにも思われがちですが、その分メロディーの起伏やリズムの緩急をよりダイナミックに変化させることで人の感情を十分に投影できるだけの力があると私は考えています。
この記事をお読みいただいた方でまだこの曲を聴いてない方はぜひ一度お聴きになることをお勧めします。
もちろん誰にでも普及させるチャンスはありますが、修理工として、そしてアーティストとしてピアノと向き合っているADAM at 以上にインストを広める人として適任の人はいないのではと思います。 ADAM at には、ぜひピアノの素晴らしさ、歌詞のない音楽の奥深さを広めて欲しいと思います。
お読みいただきありがとうございました。