死してなお世界を驚かせる鬼才
こんにちは。akiです。
今日の一曲はこちら↓
「Tough Love」 by アヴィーチー
死去から1年がたちアルバムが出ようとしている
昨年4月に多くのダンスミュージックファンに惜しまれつつこの世を去った天才プロデューサー・アヴィーチー。スウェーデンが生み出した稀有な才能の死から1年が経ち、未公開音源を収録した新アルバムの発売がすでにアナウンスされています。今回取り上げる「Tough Love」はそのアルバムに収録予定の楽曲から先行公開されたものです。
アヴィーチーには様々なアーティストとコラボした未公開音源、いわば「遺作」が多数存在することはすでに多くの人に知られています。 間違いなく、アヴィーチーのファンは新アルバムのリリースを楽しみにしていることでしょう。
聞いた瞬間、「ん?」となる
さて、アヴィーチーといえば「Wake Me Up」や「The Night」など有名な曲にはノリノリでハイテンションの曲が多く、私はそういった曲が今回のアルバムでも軸になるのかと思っていました。それを見事に裏切ったのが彼自身の苦しみを吐露した可能ような「SOS」という楽曲です。先月この曲が公開された際に記事を書いていますので、そちらもご覧ください。
そして、2曲目の公開となったこの「Tough Love」は、イントロに「ん?」と違和感を覚えること間違いありません。バイオリンが最初からフルスロットルで激しい音を奏でるというのは、生前のアヴィーチーの楽曲にはあまりなかったことだと思います。
冒頭だけでなく、曲全体のメロディラインが生前の他の曲とはかなり異なったものになっています。打ち込みの打楽器のリズムなどから、私はとてもラテン系(特にスペイン系)の要素が強い楽曲になっていると感じました。
(※2019年6月7日追記:これはアヴィーチーがインドを旅したときにインスピレーションを受けたことに由来しているそうです。ラテンではありませんでした)
そもそも彼が作っていたのはダンスミュージックですから、ラテン系の「タンゴ」のような要素が入っても曲が壊れることはないですが、生前にはあまりなかったアプローチに思えたので純粋に驚きました。
しかし、このバイオリンを主とするメロディは曲の主題でもある「愛」をダイナミックに表現していて、特に最後の盛り上がりでは迫力ある音になっていてとても素晴らしく、驚きも最後には感動にかわりました。
異質のアレンジは、生前からあった構想らしい
このアレンジは、生前にアヴィーチーとともに音楽を作っていたプロデューサーたちの色が出たためなのかと思っていたのですが、どうも違うようです。「Tough Love」の製作について、この曲を編曲した2人の音楽プロデューサー・ Agnes と Vargas&Lagola が語っている動画がYouTubeにアップされていたので見てみました。
彼らは「(アヴィーチーの生前にあったのであろう)デモ音源に可能な限り近づけた形で作曲することが最も大事、それは遺族の意思でもある」と最初に話しています。デモ音源に「近づけよう」としているのに、いきなりラテン系の要素が入ってきてここまで異質の曲になるということはないと思うので、おそらくアヴィーチーが生前から練っていた構成なのだと思います。
彼のアイデアはいったいどれだけあるのか
「Tough Love」の前に公開された「SOS」もそうですが、アヴィーチーが考えていた音楽の形はまだまだたくさんあり、いままで私たちが見てきたのはほんの一部でしかなかったのではないかと思わされます。
ですから、これからも彼が生前に考えていた新しいアイデアの楽曲が出てくるのではないかと期待しています。もちろん、彼が亡くなってしまったことはどうにもできませんし、彼の膨大な未発表曲を公開していくのは権利などの込み入ったことも含めてスムーズはいかないと思います。しかし、可能な限り彼の曲を世が世に放たれ、私たちをこれからも驚かせてくれることを期待せずにはいられません。そう思わせてくれる、魅力あふれる新曲です。
ぜひ、聴いてみてください。
お読みいただきありがとうございました。