山火事、そしてあらゆる場面で最前線に立たされる人たちへ
こんにちは、akiです。今日取り上げる一曲はこちら↓
「Here With Me」by チャーチズ
もともとは2019年3月にリリースされた曲
今日取り上げるのは、この記事を書く時点ではもう新譜ではありません。世界的に有名なDJでありプロデューサーのマシュメロがスコットランド出身のバンド・チャーチズとコラボした「Here With Me」という曲です。
この曲は昨年の春にリリースされ世界的に大ヒットを記録。インディーズバンドであるチャーチズの楽曲の中ではSpotifyで最も再生されている楽曲です。YouTube上で公開された2本のミュージックビデオはそれぞれ6億回再生と4億回再生を記録しています。
「Here With Me」は「私と一緒にここにいて」というタイトルの通り、愛情を歌った王道のラブソングといってよいと思います。一方で、この曲のミュージックビデオでは、火災現場で奮闘する消防士とその家族の物語がアメリカで実際に起こった実話をもとに再現されています。このミュージックビデオの描写は決してカッコいいところだけを取り上げているのではなく、現場で殉職する消防士や遺族の悲しみなども克明に描かれています。
さらには、このミュージックビデオが公開されているページからは消防士や救急隊といった災害時に最初に対応する人たち(英語ではファースト・レスポンダーと言われるそうです)とその家族の支援のための募金ができるようになっています(ただし、日本からは送金できない設定になっているようです)。このような人たちは殉職するリスクを負っているだけでなく、現場で体験したストレスから自殺する人も少なくなく、マシュメロとチャーチズは曲を通してそのような境遇の人への支援を呼び掛けています。
リリース後にやって来た山火事、そしてコロナ、、
さて、このようにラブソングでありながら消防士や救急隊に対する思いも込めて歌われていた「Here With Me」ですが、2020年になって私たちはこのような人たちへの感謝の念をより深くすることになりました。
まずは、リリース直後にオーストラリアで大規模な山火事が発生しました。消防士や地元の消防団の人たちが多く犠牲になりました。さらには、この曲のミュージックビデオのストーリーの基になったアメリカ・カリフォルニアで前例のない山火事が発生。懸命に消火活動が続いています。
そして、いまコロナ渦の中にある私たちは、患者と最初に接触する医療スタッフや搬送先の手配などで奔走する保健所の職員など、いままで当然すぎるあまり意識していなかった人たちの存在の大切さを感じさせられています。
そうした中でこの曲を聴くと、ただ自分の好きな人にそばにいて欲しいという意味以上のものを感じます。
とくにこの曲の一番のメインである「I need you here with me everyday(毎日、私のそばにあなたが必要なんだ)」という歌詞には、ただ恋人と離れたくないだけではなく、実は知らなかっただけで私たちの毎日の生活を安心なものにするためには多くの人たちの力が必要だという意味が込められているようにも感じます。
私は消防士ではないので、彼らの代わりに現場に出るということはできません。しかし、様々な人が私たちの生活のそばに必要なんだということを忘れてはいけないということをこの曲はいまになって私たちに感じさせます。
良い曲いうのは時代が変わればまた違った表情を見せるということなのでしょうか。
また、もしこれを最初から織り込み済みでこの曲を書いていたのだとしたら、マシュメロとチャーチズは本当に素晴らしい音楽家だと思いますし、彼らに先見の明があるからこそ、昨年あれだけのヒットになったのだと思います。
お読みいただきありがとうございました。