Can you hear me? S.O.S
こんにちは、akiです。
今日の一曲はこちら↓
「SOS」by Avicii
去る4月20日は、スウェーデンが世界に誇る音楽プロデューサー、Aviciiの命日でした。そしてその直前にリリースされたのが、この「SOS」という曲です。この曲を歌っているのは、Aviciiが世に送り出した曲の中で最も有名な「Wake Me Up」を歌っているアロー・ブラック。彼が歌う曲が出ると聞いたとき、「Wake Me Up」のような壮大で力強い曲になるのかと思っていたのですが、、、
冒頭がこの曲のすべて
冒頭を聴いて唖然としてしまいました。歌詞はなんと「Can you hear me? S.O.S(あなたに私の言葉が聞こえる?「S.O.S」)」という衝撃的な始まり。
誰もがAviciiが自殺したこと、そして過労などによって精神的に追い込まれていたことを知っています。その彼の死後に初めて新しく出た曲の冒頭で「俺のSOSが聞こえるか」って言っているのです。あまりにも悲痛すぎる叫びです。
ある意味で現代音楽というのはアーティスト自身の経験や思いが結晶化した「自分の切り売り」的な要素がありますが、ここまで切迫感を伴った音楽はそうそう出せるものではありません。「生」や「死」といった厳しさ、はかなさがあふれ出るほどに織り込まれていて、かつそれが生々しく現実感を伴って私たちの耳に届きます。
暗闇を通り過ぎた先に見えたものは何だったのか
さて、ここでAviciiを一躍有名にし、また「SOS」と同じくアロー・ブラックが歌っている「Wake Me Up」がどんな歌詞から始まっているかと言うと、
Feeling my way through the darkness
(自分の道は暗闇を通り抜けた先に続いていると思う)
Genius Lyrics より
もうこれは皮肉と言うほかないのですが、暗闇の先で栄光をつかんだ後でAviciiが見たものはまた暗闇だったのではないかと、この曲を聴いていると思ってしまいます。他の見方をすれば、Aviciiは彼自身の暗闇の中から出られないまま終わってしまったのかもしれないですが。
こういった偉大な音楽科の死を無駄にしたくないといちリスナーとしては思います。どんなに素晴らしい音楽を出してその人が有名になっても、やっぱり死んでしまったら何の意味もないと思うのです。生きていること以上に人間がこの世に何かを残すこと、他人に何かを伝えることにおいて大切で基本的な条件はないと思います。
もちろん、彼の曲は電子的に記録されていまでも聴くことができるとは言っても。 これはせめてもの救いにしかなりません。
今年イタリア・イビサ島で行われる「IMS IBIZA 2019」では、Aviciiの父であるKlas Birgling氏が「音楽業界におけるメンタルヘルスの重要性について」話す予定であると報じられています。もちろんこれだけで何かが変わるわけではありませんが、有意義な議論が行われることを期待しています。
この曲では、もう息も絶え絶えだけれども最後まで生きようとしているAviciiの葛藤が見て取れます。この曲が訴えていることを、私たちは胸にしっかりととどめておかなければいけないと思います。
Rip, Avicii.
お読みいただきありがとうございました。
※歌詞はGenius Lyricsを参照しました。
また、Aviciiの父親が登壇することについてはこちらの記事(英語)を参照しました。