TOKYO2020後、新国立競技場でライブ・コンサートができない?!

大会後の使用がしっかり決まっていない!

こんにちは、akiです。

TOKYO2020大会まで1年を切りました。大会への機運が着実に高まってきています。その一方で、「東京大会の開催中止」を求める提言も起きています。

今回は、TOKYO2020の「大会後」、そしてその中でも「新国立競技場」での「ライブ・コンサート」に焦点を当てていきます。

<目次>

・新国立競技場は大会後どうなるのか?
・コンサートの開催は想定されているのか?
・スポーツ庁主導で本当に大丈夫?

「球技場」になる新国立

新国立競技場の大会後の使用は、大枠ではすでに決まっています。それは「球技場」にするという方針です。具体的に言うと、

・東京大会中は開閉会式・陸上・サッカーで使用

・大会後は陸上用のトラックを撤去して、「球技場」として使用

する方針が決まっています。

「新国立競技場、五輪後はトラック撤去で球技場専用へ」、日刊スポーツ、2017年4月29日

この話と、大会後の「コンサート」の開催との間にどんな関係があるのかというと、発端は新国立競技場の設計を決めていた2012年にまで遡ります。

コンペの段階でボツになっていた「コンサート機能併設案」

味の素スタジアムや日産スタジアムなど、東京近郊にある大規模なスタジアムでは有名アーティストの大掛かりなライブ・コンサートが頻繁に行われます。そういった施設が東京の都心にできることを期待している音楽ファンの方は多いと思います。

しかし、実はこの「コンサート」の機能を付ける案は新国立競技場の建設が始まる前にすでにボツになっています。

非難轟轟だったザハ・ハディドは大会後のコンサート開催を考えていた

いま建設されている新国立競技場の設計は、日本を代表する建築家・隈研吾氏の設計です。その前に少々のごたごたがあったことを覚えている方はいるでしょうか?

この新国立競技場の設計にあたって最初にコンペを通ったのは、イラク出身の建築家ザハ・ハディド氏(故人)です。彼女の案はとても独創的でしたが、いったんザハ案に決まってから「お金が足りない」という話になり、ザハ案はボツになりました。そのとき、ハディド氏がかなり非難されていた記憶があります。

さて、ザハ案では「お金が足りない」ので隈研吾氏の案が新たに採用されたわけですが、「お金が足りない」ということは、経費削減の為に隈氏の案ではザハ案から何かが取り除かれているということになります。

そうです。そこでまず省かれたのが、「コンサート機能」です。

2014年に行われたザハ案と代替案との比較検討に用いられた資料では、コンサートの回数が12回/年(ザハ案)→0(代替案)に変更されていることがわかる。
https://www.cuc.ac.jp/~sahara/opss/opss2014survey,ref.data.pdf

「コンサート機能」って?

この記事では「コンサート機能」という言葉を多用していますが、その意味はまだ説明していなかったので、ここで具体的に説明します。

1つ目は、「免震構造」です。ライブ・コンサートでは観客が跳ぶことがあるので、それに備えて免震構造を備えておかなくてはなりません。ザハ案では、この機能が盛り込まれていましたが、新しい案を考えるときに参考にしたロンドン五輪の会場にはこの機能がなく、建設時にこの機能は盛り込まれていません。

もう1つ大事なことが、「開閉式の屋根」です。新国立競技場の芝は天然芝なので、風通しをよくするため屋根はない方がよいといわれています。一方で、ライブ・コンサートでは周囲に大きな騒音が出るため、音が漏れないよう屋根を閉じておく必要があります。新国立競技場の周りは北参道・代々木周辺に住宅地もあり、騒音問題が起こるのは必至です。

この矛盾を解消するのが、「開閉式の屋根」(福岡のヤフオク!ドームが好例)ですが、当然これも一般的な屋根より高コストになります。この機能も現在の新国立競技場では省かれています。(ただし、この地区には神宮球場がありますが、そこではいままでずっとプロ野球の試合が行われてきているので、実のとことは屋根がなくてもライブができるかもしれません)

現在、新国立競技場の初めてのライブを嵐が行うという観測が出ていますが、実際のところコンサートが考慮された設計にはなっていないため、1回目の嵐はおろか金輪際ライブは開かれないのではないかというおそれさえあります。

そして、この流れの中でさらに経費が削減され、大会後の「球技場」としてのみの使用や、一部の座席を仮設として大会後に撤去することなどが決まりました。

「スポーツ庁」は「コンサートをする」と言っている

次に、所管する省庁の間でどういった議論が行われているのかを見てみます。結論から言うと、「ほぼ中身はない」ということになります。

文部科学省傘下のスポーツ庁が出している「大会後の運営管理に関する基本的な考え方」によれば、大会後の新国立競技場のコンサート利用については、

「夏季を中心に、音楽コンサート・フェスティバル等の開催を促進する」

とだけ書かれています。

それもそのはずで、この文章を出しているのは「スポーツ庁」で、話し合いは「スポーツ庁」「日本サッカー協会」「日本ラグビーフットボール協会」「日本陸上連盟」の間で行われており、文化業界の参画が全くない状態でこの方針が決められています

頼みの綱は、「文化庁」ですが、文化庁のHPにアクセスしたものの、めぼしい書類を見つけることはできませんでした。どうやら五輪関連のことはスポーツに関係のある人たちの間で優先的に話し合われているようです。

しかも、「夏期」だけに限定されているというのはいったいどういうことなのだろうか?という疑問がわきます。東京の気候であれば夏以外にも春や秋に十分野外ライブができます。むしろとてつもなく暑い夏よりも5月くらいに開催した方が気持ちよく音楽に浸れるのではないかと思います。先程引用した一言が暗示していることは、大会後の新国立競技場はほとんどコンサート会場としては利用できないことの証左であるように思います。

また、前述の通り設計をし直した段階で「コンサート機能」を省いたにもかかわらず、どうやって(夏季限定であっても)ライブをやるのか?という疑問もわいてきます。

東京大会まであと1年を切りました。短い期間ではありますが、可能な限り今後の利用法をさらに詰め、特に文化的な利用について私たちが納得できる説明をすることが、東京都・そして政府に求められています。私たちもしっかりと注視していくべき問題です。

お読みいただきありがとうございました。

<参考にした文献>

「大会後の運営管理に関する基本的な考え方」、スポーツ庁・大会後の運営に関する検討ワーキングチーム、2017年11月3日
http://www.mext.go.jp/prev_sports/comp/a_menu/sports/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/11/14/1398287_1.pdf

「オリンピック2020・新国立競技場計画 『情報公開と参加に関する調査』―参考資料:計画に関する理解のまとめ」、千葉商科大学・参加と合意形成研究会、2014年7月25日
https://www.cuc.ac.jp/~sahara/opss/opss2014survey,ref.data.pdf

「2020年に向けた東京都の取組―大会後のレガシーを見据えて―」、東京都
https://www.2020games.metro.tokyo.jp/9f07d6723a4cee3af255fbf84113b545.pdf

「新国立競技場、五輪後はトラック撤去で球技場専用へ」、日刊スポーツ、2017年4月29日
https://www.nikkansports.com/sports/news/1815112.html

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