岐路に立つ「間接民主制」について【2】

ついに「直接民主制」を党是に掲げる政党が誕生!!

こんにちは、akiです。

前編の記事では「間接民主制」と「直接民主制」の違いをみました。そして「間接民主制」を部分的に否定する形で成功を収めた「れいわ新選組」について取り上げました。

「れいわ新選組」代表、山本太郎氏は「間接民主制」を否定するような発言はしていませんし、あくまで「選挙」で戦い抜く姿勢を示していますから、彼が「直接民主制」を導入しようとすることはないでしょう。

「直接民主主義」を主張している「N国党」

一方で、「れいわ」とともに誕生した「N国党(NHKから国民を守る党)」は、なんと「直接民主主義(直接民主制と同じ)」を重要政策に掲げています

いや待て。「N国党って『NHKをぶっ壊す』しか言わないんじゃないの?」というそこのあなた。この「直接民主制」は「NHKをぶっ壊す」という彼らの主張と密接に関連しています。

政治家の多数決≠国民の多数決

まずはこちらをご覧ください。産経新聞が8月5日に公開した、フジサンケイグループが合同で行った世論調査の結果です。「NHKのスクランブル放送化」について賛否を聞いたものです。

賛成:51.1% 反対:37.0%

https://www.sankei.com/politics/news/190805/plt1908050015-n1.html

一社のみの世論調査ですので、他の調査では違う結果が出る可能性がもちろんあります。しかし、「N国党」の代表で今回の選挙で当選した立花代表は「自・公政権はスクランブル放送化に反対しているので、国会ではまず成功しない」つまり、スクランブル化のための法律が通らないと述べています。

ここで、疑問が起きます。前回の記事で書いた通り「間接民主制」は全員が直接の声を届けることが物理的に不可能なため、あくまで「代表(=議員・代議士とも)」を通して国民の声を届けることです。

しかし、立花代表はこれに対して「政治家の多数決が国民の多数決と違うのはなぜだ」と述べています。

NHKから国民を守る党が目指す直接民主主義について

決しておかしくはない立花氏の主張

この主張は、決しておかしいものではありません。むしろNHKのスクランブル放送化では、産経新聞では過半数が支持、他の新聞の調査でも少なくとも賛成・反対は拮抗するであろうものが、そういった私たちの意見を代表する国会では3分の2(自・公政権)が反対勢力で、NHKの予算は基本的に全会一致で可決されているということの方がおかしいともいえます。

国会では、参議院と衆議院で議席を持つ党が違うことを「ねじれ国会」といいますが、実はこの国では国会と社会の多数派が異なる「ねじれ国家」ともいえる状態になっているのではないかと私は考えます。立花代表は、直接民主制を採用すればこの「ねじれ」が解消されてNHKのスクランブル放送化が達成できると述べています。

つまり、「スクランブル放送化」の手段として「直接民主制」を主張しているのです。

「N国党」がワンイシュー政党で全く問題ない理由

「N国党」は「NHKをぶっ壊す」としか言っていない「ワンイシュー政党」であり、その姿勢が批判されます。しかし、「NHKをぶっ壊す」前提として、いままでの日本の民主主義と異なり、議員の意思は全く関係なく「有権者のバーター」として働くということを掲げているので、そもそも政策を掲げる必要がないのです。賛成か反対かは、党の国会議員が思っていることではなく、党を支持している人たちの意見で決めるのですから。

ただし、本当の意味での「直接民主制」なのかは怪しい

一方で、立花氏の「直接民主制」構想は本当の意味での「直接民主制」なのかは怪しいです。本当の意味での「直接民主制」ではもはや議員は必要なく、法案の賛否はいつでも全国民が直接投票できるようになるはずです。

しかし、立花氏はあくまで「党内での」直接民主制を主張しています。

つまり、「N国党」を支持している有権者の間でのみインターネットを用いて有権者の意見を募り、その意見に基づいて議員が投票(繰り返しますが、そのため議員のその問題に関する意見はどうでもいいのです)するということを主張しています。

この問題点は、結局「N国党」だけの間で「直接民主制」が行われるのであれば、いま1議席しかない「N国党」が党内でいくら直接的な投票を行ったとしても全く意味がないのです。もっと言うと、立花氏が主張している「直接民主制」が本当の意味での直接民主制になるためには、「国会は残したまま、N国党が国会の全議席を確保する」あるいは「N国党が過半数を獲得して、法律を変えて国会をなくす」などといったことが必要です。この実現に多くの困難が伴うことは想像に難くありません。

また、「インターネット投票」はいまだにどこの国でも実現しておらず(直接民主制を採用しているスイスでも直前で導入が見送られました)、現時点で多くの賛同が得られる状況なのかどうかは非常に怪しいと思います。こうした懸念を払しょくしていく必要もあります。

総括

直接民主制を、インターネットを用いて行うには幾多の困難があります。一方で「N国党」が主張する国会(政治家)と社会(有権者)との間の「ねじれ」や、「れいわ新選組」が主張した「当事者はその道のプロ」ということも頷けます。

インターネットによる投票にはハッキングによる不正の危険性も十分にあり、技術的な面やそれに対する懸念を取り払って国民的な合意を得るということは容易なことではありません。当然、いますぐに実現することはないのではないかと思います。(技術面については私も研究成果などをしっかり確認したいと思います)

さらに直接民主制の機運が高まれば国会議員は失職し、彼らは地位・権力をすべて失うわけですから、このようなことについて前編で引用した音喜多氏のような難色が示されるのは当然です。

ただ、今回の選挙は間違いなくいままでなんとなく回っていた日本の政治制度をいう揺るがすような事態であったことは間違いありません。そして、いまの政治制度の不完全さが徐々に表れているようにも思います。「直接民主制」は私の中であまりにも非現実的ですが、少なくとも主権者である一人ひとりにとって「どういう政治の仕組みが良いのだろう?」ということを考えることは必須なのではないかと、この選挙を見て感じました。

お読みいただきありがとうございました。

前編の記事にはこちらからもアクセスできます。

<参考にしたサイト>

「ホワイト国除外『支持』67・6%、改憲議論の活発化支持が6割超 産経・FNN合同世論調査」、産経新聞、2019年8月5日
https://www.sankei.com/politics/news/190805/plt1908050015-n1.html

「党規約」、NHKから国民を守る党公式サイト
http://www.nhkkara.jp/rule.html

「直接民主主義の実現がNHKから国民を守る党の政策です。」、立花孝史Youtubeチャンネル、2018年12月16日
https://www.youtube.com/watch?v=ffNwyY0pWzk

「NHKから国民を守る党が目指す直接民主主義について」、立花孝史Youtube チャンネル、2019年7月23日
https://www.youtube.com/watch?v=ryc5VEWREIc

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