イベント業界を救うためにいくらかかるのか計算してみた

私は経済学者じゃないです。

こんにちは、akiです。

今回の新型コロナウイルスで、大規模な経済的打撃を受けているのが、自粛要請を受けているイベント業界です。昨日3月28日に行われた安倍総理大臣の会見では、自粛要請に対する補償額が具体的に示されることが期待されましたが、それはなし。イベント業界に関わる方々、また音楽や演劇といった文化に造詣の深い方にとっては噴飯物の会見であったでしょう。

明確な方針が示されないことにより、政府に対して嘆願する署名活動も広がっています。一方で、補償は当然として「補償するなら一体どれくらいの額が必要なのだろう」ということを私は考えていました。

本来は政治家が先に計算して私たちに示すべきことなのかもしれませんが、公開情報から推測して、どれだけの補償が求められているのかということを計算した結果をここで書きたいと思います。

※ここで注意です。

筆者は経済学者ではありません。ですので、この記事は経済学者が見たらとんでもない仮定に基づいているという指摘を受ける可能性もあるということを分かったうえで読んでいただきたいと思います。

今回の記事は以下の3部構成です。

1.日本経済の概況と全体としてどれだけの補償額が必要か
2.イベント業界にはどれだけの補償が必要か
3.結論

世界、日本の経済はどこまで行くのでしょう、、、

1.日本経済の現状と経済全体への対策

まず初めに、日本経済全体のおさらいと、現状がどうなっているのかをみます。

超内需国 日本

まず初めに重要なことは、日本は内需国だということです。日本の2019年のGDP およそ554兆円のうち、純輸出(輸出で得た利益から輸入で支払ったお金を引いた額)が占める割合はわずか0.25%です。半分以上の55%は、国内で個人が消費することによってもたらされています

ですから、製造業を支援して物を作って輸出する量が増えたら日本経済が活性化するなどということは全くあり得ない話であり、日本国民が日本国内でお金を使うようにならない限り、この経済的打撃を乗り越える手立てはないということになります。

1か月経済活動が止まるとどうなるか

2019年の日本のGDPはおよそ554兆円でした。1か月平均に直すと、およそ46兆円です。また、1か月あたりの個人消費はおよそ25.5兆円になります。

つまり、もし都市封鎖などによって日本経済が完全に停滞すると46兆円分の利益が日本から消える(=私たちの賃金が消える)ことになります。ちなみに、日本全体の年間GDP 550兆円のうち東京都だけで94兆円(2016年)を占め、もし東京都が封鎖されるような事態になると、それだけで7.8兆円/月のGDPが消えます

東京が本当に封鎖されたらどうなるのか。現時点での報道では、緊急事態宣言が出された場合にはそれが21日間つづき、さらに延長するかどうかは状況を見て判断することになっています。21日の封鎖だけでも、5.5兆円のGDPが東京都からなくなります

さらに、東京都とほぼ人口規模が等しい湖北省武漢では1月23日から封鎖が始まり、4月8日に解除される予定です。その間の日数は76日(2.53か月)であり、もし東京都が同じ日数封鎖されると、東京都だけで19.7兆円のGDPが消失することになります。

このままいくと東京の都市封鎖が現実になる可能性が十分あることも踏まえると、東京都に対する経済対策だけで数十兆円に上ります。

東京は大きな街なだけに、一度止まるとひとたまりもない、、、

すでに自粛要請から1か月たっていることも忘れてはいけない

また、日本では感染が拡大していない現時点で、すでに自粛要請を受けている業界や、感染爆発で影響を受けている海外とのビジネスがあることも忘れてはいけません。

安倍首相が自粛要請の発言をしたのは2月26日です。この記事を書いている時点ですでに1か月が経過しています。日本の1か月のGDPは46兆円です。どんなに少なく見積もっても、この1か月で数兆円は確実に消失しているはずです(後で補強する根拠を出します)。そして、これから感染が拡大すればもっとすごい勢いでGDPが目減りします。

ですので、経済対策は10兆円では少なすぎるくらいだと思っています。GDPが日本の4倍であるアメリカの経済対策は220兆円であり、自民党の有志が提案した経済対策の額が30兆円であることを考えると、少なくとも30兆円、私は60兆円くらいの予算を組んでも良いと思っています。

2.イベント業界の補償

次にイベント業界の補償についてです。

まず、イベントに関わる業界が日本のGDPに占める割合を見てみます。2019年のデータは公開されていなかったため、2018年のものになります。

図1 産業別のGDP構成割合(2018年)
「平成30年度国民経済計算年次推計」 より
※単位:%

様々な業界に分かれていますが、そのうちイベントや文化産業が関わる業界として私が挙げたのが、グラフの中で赤くなっている3つの業界です。それが「宿泊・飲食サービス業」「情報通信業」「その他サービス業」です。ここは非常にあいまいな条件の設定になってしまい申し訳ありません。統計の取り方が「文化業界」とはなっていないことや、文化産業に関わる業界は様々あるため、今回は便宜的に3つの業界を選びました。

ちなみに、この分類については経済産業省のHPから確認できます。リンクはこちら

「宿泊・飲食サービス業」「情報通信業」「その他サービス業」 の割合の合計は11.7%です。2019年のGDPで考えると、この3つの産業が生み出すGDPは1年で64.8兆円、1か月で5.4兆円となります(ここから見ても、この1か月の自粛要請で数兆円規模のGDPが目減りした可能性は十分にあるといえます)。

ですから、ここ1か月の自粛による損失補填とこれから3か月分の損失補填を考えると、この3つの業界に合わせて5兆円超の支援が必要でしょう。いま考えている3つの業界のすべてがイベント業界に関わらないとしても、イベント業界だけで数兆円規模の支援は少なくとも必要であるように思います。

まとめ

総括します。

1.1か月経済活動が完全停止するだけで日本から46兆円のGDPが消える
2.都市封鎖の可能性が高まっている東京だけで1か月のGDPは5.5兆円
3.当然、経済対策も50兆円は必要だ
4.イベント業界一つの支援でも数兆円規模の支援が必要

様々な方法を使って支援を

今回は大枠の話ばかりを書いたので、50兆円の予算を組んだらどのような方法でそれを行うのかについて全く記載しませんでした。当然、50兆円分の現金を個人に給付すればいいわけではありません。そうしたら個人は良くても会社が潰れます。一方で、会社ばかりにお金をつぎ込んでいてはそれが個人に流れてくるまで待てません。

減税、給付金など、様々な打ち手を国は持っているはずです。それを有効に打たなければ、日本のGDPはとてつもないマイナス成長を記録するでしょう。

近日中に経済対策が発表されるはずです。その大枠が数兆円にとどまるのか、それとも50兆円(少なくとも自民党の有志が提言した30兆円)になるのか。私たちは重大な関心を持って注目すべきです。

長い文章をお読みいただきありがとうございました。

<参考文献>

朝日新聞デジタル、「緊急事態宣言出たら…外出自粛『21日程度』 政府原案」2020年3月26日21時42分 https://www.asahi.com/articles/ASN3V74BJN3VULBJ010.html

朝日新聞デジタル、「国内のスポーツ・文化イベント、2週間自粛要請へ 首相」2020年2月26日12時56分 https://www.asahi.com/articles/ASN2V45C8N2VULFA00L.html

経済産業省、「作成基準に基づき公表される参考資料」 https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h23/pdf/sakusei_hosoku23.pdf

経済産業省、「年次GDP実額 2019暦年 実質」https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/qe194_2/tables/gaku-mcy1942.csv

経済産業省、「平成30年度国民経済計算年次推計」 https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h30/sankou/pdf/point_flow_jp_20191226.pdf

日本経済新聞、「東京都のGDP、世界16位(Tokyo Data)」2007年7月2日10時54分 https://www.nikkei.com/article/DGXLASFK29H26_Z20C17A6000000/

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