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21世紀の「ロミジュリ」は「おひとり様」やマイノリティにも対応している?!

21世紀の「ロミオとジュリエット」は新しい結末を迎える!!

こんにちは、akiです。

今日の一曲はこちら↓

「Party For One」by カーリー・レイ・ジェプセン

ただ失うだけではない

ここまで2曲を取り上げてきたカーリー・レイ・ジェプセンの新アルバム「Dedicated」、最後に取り上げるのはアルバムの一番最後の曲「Party For One」です。

この曲は「マスターベーション」が一つのテーマになっています(いきなりすみません)。歌詞の中の「Making love to myself」という言葉が端的にこの言葉を表していますし、ミュージックビデオの中でおばあさんがアダルトグッズやら下着やらを持っているシーンからしても「(特に女性)性の解放」をテーマにした曲であることは間違いありません。

また、このミュージックビデオには3:54のところで虹色のビンを持ったウエイターの姿が映されてります。虹といえば、この文脈ではまちがいなく「性的マイノリティ」に人たちのことを指します。女性だけでなくマイノリティの人も含んだ多様な性の在り方を訴えている曲でもあります。

一方でマイノリティだけにフォーカスしているのではなく、彼氏を失ったであろう女性も出てきますし、仕事が終わってホテルに泊まろうとしている男性サラリーマンも出てきます。共通点はみな「一人」であることです。しかし、「一人だからって悲しくない!むしろ一人を楽しむんだ!」という勢いも感じさせます。

「Party For One」というタイトルはマジョリティとマイノリティをうまく包み込んだ最高の言葉です。

アルバム全体でみるとさらにすごみが増す

この「Party For One」という曲はアルバムに先行してリリースされたので、リリース当初はこのインパクトだけが印象に残ったのですが、アルバム全体を通して聴くと緻密に計算されたものだということがよくわかります。

すでにアルバムの中から2曲取り上げた際に述べた通り、このアルバムは「ロミオとジュリエット」のパロディになっています。アルバムの1曲目である「Julien」からだんだんと盛り上がって「Now That I Find You」をから始まる中盤で最高潮に達し、最後の曲が今回取り上げた「Party For One」です。

シェイクスピアの舞台ではロミオとジュリエットは悲惨な別れを遂げて終わるわけですが、「21世紀のロミジュリ」でカーリーは違ったエンディングを考えたのです。

それが、「別れた後」のことです。多くの人は、別れてからも死んだりすることはなく人生が続きます。そして、そもそもシェイクスピアの時代から「恋愛」が指すものの意味も変化しつつあります。それを見事に表現しつつ、しっかりと大団円にも持っているのがこの曲です。

原作へのリスペクトを込めつつ、いま主張したいことも明確に盛り込んで、エンディングとしても申し分ない曲に仕上げたというのは驚きです。

それだけカーリーがこの問題についていつかは音楽を通して訴えたかったということなのではないのかとも思います。テイラー・スイフトも「ME!」というエンパワーメントソングを出しましたが、この流れはしばらく続くのかもしれません。

お読みいただきありがとうございました。

歌詞は Genius.com を参照しました。

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